2009年08月04日

「異教徒」という言葉のもつ重さ1−−キリスト教の勃興

 1.2 中世の数学 を書く際に中世ヨーロッパの歴史をかなり勉強させられた. 思うところ合って,「異教徒」という言葉の重さについて議論したい.長くなるので,分割してアップロードします.


 中世は西ローマ帝国が崩壊して,戦乱が続き,覇権をめぐって群雄がしのぎを削る時代が続き「暗黒時代」と呼ばれている.その時代にキリスト教が勢力を伸ばし,ついには中世ヨーロッパの殆どの国で国教になった.

 ガリレオ・ガリレイが“それでも地球は動いている”とつぶやいた例の宗教裁判から分かるように,キリスト教が科学の発展を阻害した元凶であるとの認識が元々あったので,キリスト教の歴史にはある意味で多大の興味があった.

 1つの宗教が勢力を伸ばすとき,既存の宗教から迫害を受ける.特に一神教は他の宗教を認めず,皇帝崇拝にも抵抗するから,キリスト教も例に漏れず3世紀までは相当の迫害を受けたようだ.しかしながら,380年にはキリスト教がローマ帝国の国教であると宣言された.ミラノ勅令による公認である:(以下,引用)
数次にわたる迫害にもかかわらずキリスト教の広まりは衰えることなく、4世紀にはキリスト教を公認する国が現れるようになった。301年にはアルメニア王国が初めてキリスト教を国教と定め、次いで350年にアクスム王国(現在のエチオピア)でも国教化された。

311年ガレリウス帝が大迫害の後に寛容令を出し、313年コンスタンティヌス1世とリキニウス帝によるミラノ勅令によって、他の全ての宗教と共に公認された。その後もユリアヌス帝などの抑圧を受けたが、テオドシウス帝は380年にキリスト教をローマ帝国の国教と宣言した。さらに392年には帝国内の異教信仰が禁止された。しかしローマ帝国の上流階層の古典信仰はその後も生き残った。例えば415年になってキリスト教司教の煽動によるキリスト教徒の暴徒がアレクサンドリアムセイオンを略奪破壊し、ヒュパティアのような優れた学者を虐殺するという非道をおかしている。
ヒュパティア虐殺当時の社会:(引用)
キリスト教徒であったテオドシウス1世(当時379年から392年までは東ローマ帝国の皇帝、その後395年までには東西ローマ帝国の両方の皇帝を兼ねた)は、380年に異教と異端のアリウス派に対してローマ帝国全域での迫害の方針を定めた。

391年、彼はテオフィロス(アレキサンドリアのキリスト教司教)の求めに答えて、エジプトの非キリスト教の宗教施設・神殿を破壊する許可を与えた。キリスト教の暴徒は、サラピス寺院やアレキサンドリア図書館や他の異教の記念碑・神殿を破壊した。その後、393年には法律で暴力、特に略奪とユダヤ人のシナゴーグの破壊を抑えようとの試みがなされた。

だが、412年、アレキサンドリアの総司教の職権が、強硬派のキュリロス(英語読みはサイリル)へと継承された。この後に、新たな異教徒の迫害および破壊活動が起きた。

キリスト教徒の集団により、414年、アレクサンドリアからのユダヤ人の違法で強制的な追放と、415年、最も著名なアレクサンドリアの哲学者ヒュパティアの虐殺があった。これで、緊張はその頂点に達した。

四旬節のある日、総司教キュリオスの部下である修道士たちは、馬車で学園に向かっていたヒュパティアを馬車から引きずりおろし、教会に連れ込んだあと、彼女を裸にして、カキの貝殻で、生きたまま彼女の肉を骨から削ぎ落として殺害した。

キュリオスは、アレキサンドリアから異教徒を追放した功績者として大いにたたえられた。その死後、彼は教皇レオ13世により「教会の博士」として聖人の列に加えられている。ヒュパティアの無惨な死は多くの学者たちが亡命してしまうきっかけともなり、中長期的には古代の学問の中心地であったアレキサンドリアの凋落を招く一因になる。

これらの事件により、ピタゴラスの誕生から続いてきたギリシャの数学・科学・哲学の歴史は終焉する。
一宗教が世俗的権力を持つと,こうゆう結果になるという典型的な例を見た思いがする.その宗教を信じる信者同士は隣人愛を持ちうる.しかし,その宗教のいうとおりにならない人々は虐殺してもかまわないでは殺人鬼集団とどこが違うのか.

次は十字軍遠征に絡む問題です.

清き one crick please (^^;) メモ of『なっとくの微積・解析』に一票
posted by TaD at 02:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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