2008年07月12日

ニュートンの流率法

参考文献:
高橋 秀裕 著 『ニュートン―流率法の変容 』(コレクション数学史3,東京大学出版会)
カッツ 数学の歴史』(p.568〜589)(上野健爾 他 監訳,共立出版)


 微分法の創始にあたるニュートンの流率法を回想してみよう.ニュートンは自然現象を究明する物理学者であった.“その究明は数学によって完全になされる”と彼は信じ,そして成し遂げたのであった.( kkyamasita 氏の分かり易い解説で流率法を概観しておくと良いでしょう).

 自然は時間と共に変化する.よって,自然を記述する量( など)は‘ 時間の流れ に依存する変量’=「流量」であり,その時間的瞬間変化率( など)を彼は「流率」と呼び,流量のうえに・記号を付けて表した( など).
流率の重要性は「微積分学の基本定理」:
から分かる.すなわち,未知の流量に対して,その流率が(微分方程式を通して)既知であるならば,流量は流率の積分を実行して得られるわけです.ニュートンはこの基本定理を,既に1665年5月には,把握していた.

 ニュートンは流量 が関数関係にあることを,陰関数 の形で,具体的な式(たとえば, )で表した.つまり,これがニュートンの関数概念の理解であり,関数はそれが定義する方程式を意味していた.流率を易しく議論するために, について解いた形 に直し,時間の増分 という観点から眺めてみよう.

 流量 は時間の関数 だから,増分 の増分 をもたらす:
これを に代入して, = ( と書く )を用いると,
に対して,ニュートンは, (したがって )が十分に小さいとき,彼自身が一般化した二項定理に鑑(かんが)み, のべき級数に展開できることを確信していた:
(その収束については テイラー展開 における議論が必要).

  が“限りなく小さい時間間隔” (彼の記号は )のとき, は無限小の増分 になり, の2次以上の項は完全に無視できる,と彼は考えた.それを巧妙に実行するために,
を用いて,
と書き直し,両辺を で割って,
と表した. は実質的に 0 だから,
だけが生き残るというわけである(もちろん極限操作をしていないので,批判の対象になる).この式は
を意味し,また,ニュートンは彼の二項定理から(具体的な例に対して) を導いていた.つまり,彼は導関数の公式:
(関数  のグラフの接戦の傾きの公式) を見いだしていたのだ.

 実際には,ニュートンは陰関数 について, から,同様にして
を得た( 偏微分を表す).これから,
を求めたのである.

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posted by TaD at 02:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 学問 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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